「調査や見学: 2014年11月」アーカイブ

日中首脳会談を歓迎

先日から北九州市議会第16次訪中団の訪中で感じた点についてご報告してきましたが、その中で、北京の日本大使館は「中国の対日対応が明らかに変化してきたこと」を受け、11月のエイペックで安倍首相と習近平国家主席による日中首脳会談が実現するよう木寺全権大使を先頭に「一丸となって努力」されていることにも触れてきました。

大使館以下関係者のご努力の甲斐あって、今日、約2年半ぶりに両国首脳会談が実現しました。これを歓迎したいと思います。

報道によれば、両首脳は「日中の戦略的互恵関係を発展させる」ことなど、事前に日中両政府が合意した事項に沿って関係を再構築することを確認したとされています。

また、安倍首相は「中国の平和発展は国際社会と日本にとって好機だ」とし、歴史問題について「歴代政権の歴史認識を引き継ぐ」との方針を強調したと報道されています。

多くの識者が、日中関係の現状に強い危機感を感じておられた(たとえば、以下注1のような指摘など)ときに、日中首脳の対話が実現し「戦略的互恵関係を発展させる」などを確認しあったことを素直に歓迎したいと思います。

すでに幅広く深い交流が進んでいる現在の日中関係のもとで、国家首脳同士お互いが尖りあって非生産的な対立に向かうなど愚の骨頂ではありませんか。

 1972年9月の日中共同声明は「日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」と明確に述べています。

国の指導者は、42年前の原点に立ち返って、冷静になって両国民の幸福のために努力することが求められているのではないでしょうか。

写真は、上海と北京の朝の風景。訪れた中国各都市には、普通の人々の暮らしがありました。

上海にて.jpg 北京にて.jpg

注1)「2012年以来、日中は長期かつトータルな大綱の関係に入りつつある・ある意味では『新冷戦的な状況』に近付いてきており、危険な段階に入ったと言えよう。」毛里和子早稲田大学名誉教授。」

変化しつつある日中関係

北九州市議会の第16次訪中団のメンバーとして中国三市(上海市・北京市・大連市)を訪問した際に確認できたことの一つは、尖閣問題以降ぎくしゃくしてきた日中関係にようやく変化の兆しがみえるという点でした。

中国中央政府の動向に最も関心を払っている北京市の木寺昌人在中国日本全権大使は「日中間の関係については今年4月ごろから対話の機運がでてきた。秋になると、経済も青少年交流も地方間交流もやろうというメッセージが強く出されてきた。エイペックでの首脳会談をめぐって、その後も対話は進んでいる。大使館も一丸となって首脳会談実現へ頑張っている。

すでに中国に進出する日本企業は2300社、雇用も1000万人を超えているという現実があり、日本企業は中国社会にも貢献している。日中関係は誠に幅広いし、重たいのだ。こうした中で、北九州市による地方相互での友好交流は大変ありがたく感謝したい。ぜひ大連市とパートナーとして良い関係を作っていただきたい。」と期待を込めて述べられました。

またクレア北京事務所の寺崎所長も「これまで日本からも来ないでほしいとしていたのが、去年の9月以降、解禁され、地方間交流等はどんどんやれとなってきた。つい先日も北京で6県知事交流も開催され大いに盛り上がった。中国にとっても対中国感情が悪化して日本国全体で嫌いとなるのは避けたいのだ。」と述べ、中国の対日姿勢が変化し始めていることを確認されました。

ただ一方で、中国での「汚職と公費乱用防止」に向けた取り組みは、「蠅も虎も叩く」と言われるように大変厳しく、地方政府と言えども「宴会の費用はもとより、海外旅費などにも厳しい目が向けられているのが実情だ。日本からは来ることができても、日本への渡航が難しいという現実も理解してあげる必要があるだろう。」とも指摘されました。

さらに一日目の上海市での夕食でご一緒していただいた安川OBで上海福岡県人会会長・日中地域交流会顧問の谷本武司氏も「日中間の取引はざっと世界の三分の一に達しており、切っても切れない関係であるのに、日本のメディアの在り方は気になる。まるで対立を煽っているかのようだ。上海だけでも日本人は10万人を超えている。中国の人々の意識も一様ではなく、上海のような沿岸部と内陸部でも全く違うことなど理解することが必要だ。中国に出てくる企業も数多いが、少なくとも中国が嫌いでない人にきてほしいものだ。」と述べられ、日本での一般的な報道と違う、正しい中国の現状への理解の必要性を強調されました。

日本を訪れる中国人が年々最大数を更新しながら増え続けている現実を見れば、中央政府とは異なり、国民レベルでは対立の根は決して深くないはずであり、地域間都市間交流は一層強化する必要がある。

また、日中政府間が徒に事を荒立てて対立することは決して両国の利益にはつながらない、中国が対日戦略を転換する姿勢を打ち出しているこの時、日本政府は心して呼応すべきなのではないかというのが、訪中期間中に私たちが出会った日中関係者の大方のご意見であったと感じました。

11月5日から、北京市で始まったアジア太平洋経済協力会議(エイペック)の期間中に「日中首脳会談」は開催できるのでしょうか。双方の努力による実現に期待したいものです。

今回の訪中では、35年間にわたり強い絆を結んできた大連市と北九州市両市間の幅広い分野での一層の交流の成果を確認するとともに、こうした地域間交流の深化を通じて、日中間の友好協力関係の復元にもさらに貢献したいものだと念じながら、1週間の旅程を終え、大連空港から北九州への帰途につきました。

訪中団を支えて下さった関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

写真は、上海市政治協商会議との会談のもよう。北京市天安門広場。 

上海・協商会議.jpg 天安門広場.jpg

中国進出ビジネスモデルの変容 

北九州市議会第16次友好訪中団副団長として中国を訪問した際に感じた点の一つが、中国に進出した日本企業のビジネスモデルが大きく変化しつつあるという点でした。

中国の安い人件費を使って大量生産して日本で利益を得るというビジネスモデルが、もはや用をなさなくなっているのです。

中国の人件費は年率10%もの勢いで上がり続け、急速な円安は中国で生産し日本に製品を持ってくるメリットを失わせてしまいました。こうした流れに対応できず中国に進出した企業で、日々苦闘している日本企業も少なくありません。

しかし、私たちが現地で見学した日本企業は、それらの変化に対応しながら、到って元気でした。

上海市で自動車部品を生産している住友電機有限公社(住友ベークライト㈱)の川上真弘副総経理は「中国では物価が高騰し、最低賃金が年率7%以上引き上げられるなどにより、原料を加工して、そのものを日本に戻すスキームではメリットが出ない。しかし、いまや中国での自動車生産は世界一であり、中国の市場が魅力的だ。昨今の円高の折、当社を日本に戻そうとは一切思っていない。

中国で製品を作り続け、中国で販売していくことが唯一の生き残りの道であり、 生き残って発展していく決意だ。」と、方向性は明確でした。

また、大連市の大連TOTOの新村弘一副総経理も同様に「当社は水洗金具を生産しているが、中国向けが75%を占めており、円安による業績悪化にはつながっていない。最近の為替変動に、進出企業が急に対応することは困難だが、当社は10年以上前から製品の半分以上は中国向けとしてきた。当社のターゲットマーケットゾーンは一番上の富裕層で、どんどん増えている。今後も生産を増やせる。」と強気でした。

大連市内で日本商品専門のドラッグストアを経営する大串政三郎さんも「商品は関税などで日本よりも高いが、日本製品は中国での信頼と安心があり、十分やっていける。すでに中国各地で店舗を展開しており、ここ大連市でも業績をのばす自信はある。」と語っておられました。

福岡銀行・小田大連支店も「大連市はものづくりの町であるため、日本企業がやってきた安い人件費で付加価値の低いものを大量生産し、日本で販売するという従来のやり方は、なりたたない。この転換ができていないところは厳しいが、付加価値が高いものを作って中国の人に売ることが重要だ。また、富裕層をターゲットにした医療ツーリズムなど新たな分野にも可能性が大いにある。」と指摘されていました。

さらに、中国での環境問題に対する意識が急速に高まっており、訪れた上海市協商会議との会談や上海市での見学、あるいは大連市人民代表大会との会談等でも、北九州市の蓄積した環境改善の技術や取り組みに対する関心も非常に高いことを確認できました。

木寺昌人駐中国全権大使は、北九州市による環境面での中国への貢献のあり方について、私の質問に「中国での大気汚染や公害、水など環境への関心は非常に高くなっており、北九州市の貢献は可能だと思う。だが中国は昔の中国ではない。北九州市におかれても、今後は慈善事業としてではなくビジネスで頑張っていかれることが良いと思う。」など、環境ビジネスの展開について可能性を示唆されました。

私たちが訪れた時の北京市の大気は予想外にきれいで、PM2.5の濃度も高くありませんでした。しかしこれはあくまで一時的なもの。数日前には建物の姿が確認できなかったほどだったそうです。

中国での環境問題は、水も大気も一層深刻度をますことは必至であり、北九州市に蓄積された環境技術・知見をどのようにビジネスとして展開できるか、北九州モデルとしてさらに検討することが求められているものと感じまし

煙る上海市.jpg 大連空港国際ターミナル.jpg

た。

写真は、煙る上海市内。大連周水子空港の国際線ターミナル風景(多くの人々が日本などに出かけている。)


 

友好都市35年の絆・大連市

北九州市議会の第16次友好訪中団が、市の友好都市・大連市をはじめ北京市・上海市に派遣されることとなり、その副団長として超党派のメンバー、議員・事務局総勢10月26日から11月1日まで中国を訪問してきました。

訪問順序は、上海市から北京市そして大連市でしたが、北九州市との友好都市締結35周年を迎えた大連市への訪問は、私たちに強い印象を与えてくれましたので、まず大連市での模様からご報告します。

大連市で私たちは、大連市人民代表大会・陳利民副主任をはじめ要人の歓迎を受け、会談後、歓迎宴で迎えられました。

大連市人代・陳副主任は「大連市人民代表大会常務委員会を代表して、皆さんを熱烈歓迎する。大連市にとって北九州市は初の友好都市でもあり、この35年間に両市は深い友情と良き信頼関係を築いてきた。日本と中国の友好都市のモデルと言われている。人代と市議会の交流も盛んであり、かつて私も北九州市議会を訪問したこともある。この機をかりて、友好交流へ支持をし続けてくれた市議会に感謝の意を表したい。

大連市は東北地方のゲートウェイであり、工業都市であり港湾都市でもある。進出した日本企業は4200件以上、 在住日本人も5000人以上である。中国東北地方・遼寧省地域の中心として、都市の国際化のレベルも迅速に向上している。また石油産業、老人福祉産業など、新しい産業にも力を入れている 

中日関係は、まだ厳しいが、この時期だからこそ地域間交流を深める必要があり、これまでの基礎の上にさらなる実務的な交流を深めていけることを期待しており、市議会のご支援をお願いしたい。

また私は、貴市を訪問した際、北九州市が鉄鋼産業等による環境問題を解決し、世界でも有名な環境都市となったことに感心した。大連市も環境保護の取り組みを進めており、この面でもさらに支援してほしい。幅広い交流がさらに進むことに期待したい。」など、35年間の交流による両市の深い絆を感じさせるご挨拶でした。

両市の強い絆については、先に北京市で会談した木寺昌人駐中国全権大使や自治体国際化協会(クレア)寺崎所長からも言及され、特に寺崎所長は両市の関係は「誠に麗しい」ものだと高い評価をされていました。

さらに、大連市人代表敬の翌日の昼食時に会食させていただいた日本総領事館大連事務所の本部浩司領事からは、大連人代との会談・宴会会場が「大連賓館」(日本統治下の旧大和ホテル)であったこことに「大和ホテルのあの奥の広間でしたか、さすがに北九州市議会、大連市の扱いはすごいですね」と感心されましたし、「大連市の要人と面会しようにも会うのが困難なのに大連市北九州事務所の方は簡単に会える。うらやましい。35年の交流によるものだ」と高く評価されました。

また、同じく大連駐在の山口銀行宇野宏支店長も「大連市と北九州市の関係は特別だ。商工会議所の会頭も理事長も難しいのに北九州市大連事務所の田代所長はフリーパスで入れる。ぜひ今後ともこの関係を活かしてほしい。」と述べておられました。

その北九州市大連事務所(田代昇三所長)も、開設されてからすでに23年。北九州市と大連市の経済・文化等幅広い交流の拠点として活動を続けています。

同事務所の田代所長には私たちの滞在中、大変お世話になりましたし、そのスケジュールを進める都度、田代所長・益野裕至副所長をはじめ同事務所のスタッフが地元から信頼されながら活躍する姿を目にすることができ、大変誇らしい思いをしました。

田代所長は北九州市の地元企業に対して「今の時期だからこそ、駐大連北九州市事務所を活用してビジネスチャンスを広げてほしいと思います。どんなことでも、まずは相談して下さい。待っています!」と呼びかけています。

大連の朝.jpg

大連市には3泊し、セガミ薬局などを傘下に置く日本のドラッグストアチェーンの合弁会社による「日本商品専門のドラッグストア」の見学や、開発区にあるTOTO大連工場を視察、北九州市大連事務所なども訪問したほか、町並みや人々の生活する姿を見つめることができました。中国に進出した日本企業の姿やビジネスモデルの変容などについて、次回でご報告したいと思います。

写真は、大連市の朝(背景には、門司港の国際友好記念図書館のモデルになった建物が見える。) そして、北九州市大連事務所からのメッセージ。

北九州市大連事務所パンフ.jpg

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